ジスロマックSR成人用ドライシロップ2g　1回飲みきり型の抗菌薬

2012年3月20日2012年10月18日

ジスロマックSR成人用ドライシロップは2009年4月6日にファイザー株式会社から発売された1回飲みきり型の経口懸濁液用徐放性製剤。

成分のアジスロマイシンは15員環マクロライド系抗生物質。血中半減期が長く、組織移行性が優れています。このジスロマックSR成人用ドライシロップ2ｇは1回のみの服用で効果が7日間続くように設計された新製剤です。

2gというのは製剤量ではなく力価です（アジスロマイシンとして2000mgということ）。実際にボトルの中に入っているドライシロップの量は2gではありません。

下痢の副作用に注意

マクロライド系抗生物質には消化管蠕動ホルモンであるモチリンの受容体刺激作用があり、腸の蠕動運動を活性化させる作用があります。

モチリン受容体刺激作用が下痢や軟便の副作用発現の大きな要因となっています。

ジスロマックSR成人用ドライシロップ2ｇを服用した当日には下痢がおこりやすくなりますが、多くの場合長期間続くことはありません。翌日には回復する場合がほとんどです。

市販後調査によると、下痢の副作用が出た人のうち約9割は服用直後～5時間後に発現しています。中でも服用2～3時間後の発現が最も多いという結果でした。

ジスロマックSR成人用ドライシロップ2ｇの正しい服用方法

服用前後2時間以上は食事を控える

空腹時投与と比較して食後投与時は血中濃度の上昇がみられ、また、下痢・軟便等の消化管系の副作用の発現率が高くなってしまいます。

ジスロマックSR成人用ドライシロップ2ｇを服用するタイミングは食後2時間以上の空腹時。服用後、次の食事までは2時間以上空ける必要があります。

服用手順

服用直前に約60ccの水をボトルに入れる（ボトルに目安の線が入っている）。
良く振って懸濁させる。
薬が沈む前に速やかに服用。
ボトルに薬が残ったら少量の水を入れて再度服用する。分けて飲むのではなく、一回で飲みきった方が効果的である点をきっちりと伝えたい。

ジスロマックSR成人用ドライシロップ2gの正しい服用方法についてはファイザー株式会社ホームページに動画があるので服薬指導に大変役立ちます。

ジスロマックSR成人用ドライシロップ2gの服用方法について（ファイザー）

ジスロマックSR成人用ドライシロップ2gの特徴（まとめ）

水を入れて振ってもほとんど溶けない。懸濁して服用する。
ジスロマックSRはAUC/MICに最も相関して効果が得られる。 →2gの高用量製剤に改良され、投与初期により高い組織内濃度が得られるようになった。（肺組織内AUC_0-24はジスロマック500mg投与の場合に比べ約4倍とのデータあり。）
PRSP（ペニシリン耐性肺炎球菌）、BLNAR（β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌）にも効果があったとの報告あり。
ポリマーからなるマイクロスフェアにアジスロマイシンが封入されており、胃などの上部消化管ではアジスロマイシンはほとんど放出されない。
マクロライド系抗菌薬にはモチリン受容体刺激作用があり、腸の蠕動運動を活性化させる作用がある。モチリン受容体刺激作用は消化管系の副作用発現の原因の1つとなっているが、ジスロマックSRではアジスロマイシンの放出を遅らせ下部消化管で放出することによってモチリン受容体を回避することが可能となっている。
中性環境下の小腸に到達すると、マイクロスフェアに封入されたアジスロマイシンが溶解し、緩徐に放出される。放出がゆっくりなので薬剤の単位時間あたりの消化管粘膜との接触量を低下させることが可能となっている。
アジスロマイシンは速やかに血液中へと移行し、好中球や単球などの白血球に高濃度に取り込まれ、感染病巣に集中的に運ばれる。
制酸剤（水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム）との併用でも体内動態に影響が無いため、相互作用が無くなった（他のジスロマック製剤は血中濃度が低下するため制酸剤とは併用注意）。
1回の服用で他剤7日間服用と同等の有効性が得られる。
1回服用すればそれで終わりなので、コンプライアンス遵守が簡単。