2013年2月に発売予定のディレグラ配合錠(フェキソフェナジンと塩酸プソイドエフェドリンの合剤)の効果・用法・用量・使用上の注意点についてです。
海外のアレルゲン曝露試験によれば、ディレグラ配合錠を服用した45分後にはプラセボよりも優位にアレルギー性鼻炎症状が改善したとの事です。
フェキソフェナジン単体では鼻閉(鼻づまり)が改善しない場合が多いと思いますが、塩酸プソイドエフェドリンを配合したことで鼻閉に対する効果が強くなっています。
この塩酸プソイドエフェドリンはOTC(市販薬)にも含まれている成分の1つですが、安全に使用するには注意が必要です。
禁忌
アレグラ錠の禁忌は「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」のみでしたが、塩酸プソイドエフェドリンが配合されたことにより禁忌が大幅に増加しています。(ほぼ塩酸プソイドエフェドリンの禁忌です)
- 本剤の成分及び塩酸プソイドエフェドリンと化学構造が類似する化合物 (エフェドリン塩酸塩又はメチルエフェドリン塩酸塩を含有する製剤)に対し過敏症の既往歴のある患者
- モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者 [併用により、急激に血圧が上昇するおそれがある。]
- 重症の高血圧の患者 [症状が悪化するおそれがある。]
- 重症の冠動脈疾患の息者 [症状が悪化するおそれがある。]
- 狭隅角緑内障の患者 [症状が悪化するおそれがある。]
- 尿閉のある患者 [症状が悪化するおそれがある。]
- 交感神経刺激薬による不眠、めまい、脱力、振戦、不整脈等の既往歴のある患者 [塩酸プソイドエフェドリンの交感神経刺激作用が強くあらわれるおそれがある。]
(ディレグラ配合錠添付文書より)
ディレグラ錠(フェキソフェナジン/塩酸プソイドエフェドリンの合剤)の記事でも書きましたが、塩酸プソイドエフェドリンは連用する性質の薬剤ではありません。あくまでも、症状がひどい時に限ったものにすべきと考えます。
と思っていたら、ディレグラ錠の添付文書の重要な基本的注意には以下の一文がありました。
重要な基本的注意(ディレグラ配合錠添付文書より)
- 本剤の使用は鼻閉症状が強い期間のみの最小限の期間にとどめ、鼻閉症状の緩解がみられた場合には、速やかに抗ヒスタミン剤単独療法等への切り替えを考慮すること[本剤を2週間を超えて投与したときの有効性及び安全性は検討されていない]
- 本剤の使用により効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
ディレグラ配合錠の処方は、せいぜい2週間にしてくださいという事ですね。
※ディレグラ配合錠は新薬なので、1年間は長期処方はできません(2週間が限度)
では、ディレグラ配合錠はどのように使われるのでしょうか?
花粉症で考えてみると、多くの方は花粉の飛散開始前にアレグラ錠(フェキソフェナジン)などの抗アレルギー薬の服用を開始していると思います。
例えば、アレグラ錠を服用中の方が花粉の飛散量が増えて症状が悪化した(鼻閉がひどくなった)時にこの薬を追加服用してしまうと、フェキソフェナジンの用量オーバーになってしまいます(ディレグラ配合錠にもフェキソフェナジンが入っているため。)
よって、頓服薬としての追加投与はできません。あくまでも切り替えという形になってしまいます。
ちょっと使いづらいかもしれませんね。
おそらくは、症状がひどくて耳鼻科等を受診した際、初回の処方としてなるべく早く症状を改善する目的で処方されるぐらいではないでしょうか?
効能・効果
アレルギー性鼻炎(鼻閉症状が中等度以上の場合に本剤の使用を検討すること)
用法・用量
通常、成人及び12歳以上の小児には、1回2錠(フェキソフェナジン塩酸塩として60mg及び塩酸プソイドエフェドリンとして120mg)を1日2回、朝及び夕の空腹時に経口投与する。
ディレグラ配合錠の用法が空腹時に設定された理由
フェキソフェナジン単体の場合でも食後服用ではバイオアベイラビリティーが低下しますが、塩酸プソイドエフェドリンとの合剤にしたら食後服用した際のフェキソフェナジンのバイオアベイラビリティーの低下率が単体の時よりも大きくなったため、用法を空腹時に設定したそうです。低下率が大きくなった理由の詳細は分かっていないようです。