プラザキサカプセル(一般名:ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩)は2011年3月14日に日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社から発売された直接トロンビン阻害剤(抗トロンビン薬)。
プラザキサカプセルの特徴、作用機序、薬価、飲み忘れ時の対処法、ワーファリン(一般名:ワルファリンカリウム)からの切り替え方法などまとめてみました。
プラザキサの特徴
- 経口投与可能な初の選択的トロンビン阻害薬(抗トロンビン薬)
- 抗凝固作用は血中ビタミンK量に影響されない⇒納豆食べても大丈夫
- プラザキサはワーファリンと違い抗凝固作用の定期的なモニタリングや投与量の調節が不要。
- 胸やけや胃痛の副作用が多い(カプセルが大きさ、酒石酸の影響)。
- CYP代謝を受けないので薬物相互作用が少ないが、P糖蛋白質の基質となる点に注意が必要。
- P糖蛋白阻害剤(経口剤)のうち、イトラコナゾールの経口剤との併用はダビガトランの血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大することがあるので禁忌。
- ダビガトランエテキシラートはプロドラッグ。経口投与すると速やか吸収され、エステラーゼで加水分解されて活性代謝物のダビガトランとなる。
- 腎排泄型薬剤のため、中等度の腎障害(クレアチニンクリアランス30-50mL/min)のある患者では減量を考慮する。(ワーファリンは肝代謝。)
- 効果発現まで約2時間
- 半減期は約12時間⇒1度飲み忘れると抗凝固作用が低下する。
- カプセルの吸湿性が高く、一包化は不可。
- 脱カプセルは不可
- 薬価が高い
プラザキサを飲み忘れ時の対処法
患者指導箋①:プラザキサを服用される患者さんへ(日本ベーリンガー)
患者指導箋②:プラザキサを服用される患者さんへ(日本ベーリンガー)
プラザキサを飲み忘れた時は、気が付いた時、同日中にすぐ1回分を服用。次回飲むまでに6時間以上空けること。2回分をまとめて飲まないこと。
プラザキサの作用機序
トロンビンの働きを直接阻害し、フィブリノゲンからフィブリンの形成を阻害して血液凝固を阻止する。
作用にビタミンKが関係しないので納豆などのビタミンK含有食品の摂取制限は不要。
プラザキサの相互作用
併用禁忌:イトラコナゾール(経口剤)
その他のP-糖蛋白阻害剤(経口剤)との併用はダビガトランの血中濃度が上昇することがあるため併用注意。
ワソラン(ベラパミル塩酸塩)、アンカロン(アミオダロン塩酸塩)、キニジン硫酸塩水和物、プログラフ(タクロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、ノービア(リトナビル)、ネルフィナビル、サキナビル、クラリス(クラリスロマイシン)他
効能・効果
非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
用法・用量
通常、成人にはダビガトランエテキシラートとして1回150mg(75mgカプセルを2カプセル)を1日2回経口投与する。
なお、必要に応じて、ダビガトランエテキシラートとして1回110mg(110mgカプセルを1カプセル)を1日2回投与へ減量すること。
以下の患者では1回110mg1日2回投与を考慮する
・中等度の腎障害(クレアチニンクリアランス30-50mL/min)のある患者
・P-糖蛋白阻害剤(経口剤)を併用している患者
・70歳以上の患者
・消化管出血の既往を有する患者
ワーファリンからプラザキサへの切り替え例
ワーファリンを中止し、INRが2.0未満になればプラザキサの投与を開始する。もともとINR2.0未満の人はワーファリン中止後すぐにプラザキサを開始。(※当然個々の病態により異なります。)
⇒ワーファリンからプラザキサの切り替え(メリットとデメリット)
プラザキサからワーファリンへの切り替え例
プラザキサを継続したままワーファリンの投与を開始。数日併用してからプラザキサを中止することが多いそうです。(※当然個々の病態により異なります。)
良い薬ではありますが、ワーファリンで良くコントロールをされている人があえてリスクを冒してプラザキサに切り替えるという理由があまりないような気がします。薬価の高さ、1日2回の服用、一包化不可、重篤な出血例の報告などなど。
現状はカプセル剤のみですが、今後経管投与可能なプラザキサ細粒や、粉砕可能なプラザキサ錠が出てくればもう少し処方可能例が増えてくるのかもしれません。
ジェネリック:無し
薬価:
プラザキサカプセル75mg 132.6円
プラザキサカプセル110mg 232.7円
(ワーファリン錠1mg 9.6円)
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