パキシル錠(一般名:パロキセチン塩酸塩水和物)はグラクソ・スミスクライン株式会社のSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)。うつ病・うつ状態、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害に対して処方される。
作用機序
パキシル(パロキセチン塩酸塩)は選択的なセロトニン(5-HT)取り込み阻害作用を示し、神経間隙内の5-HT濃度を上昇させ、反復経口投与によって5-HT2C受容体のdown-regulationを誘発することにより、抗うつ作用及び抗不安作用を示すと考えられる。
特徴
抗コリン作用は比較的弱い
うつ病・うつ状態、パニック障害、強迫性障害の適応あり
うつ病・うつ状態・・・1日40mgを超えない範囲で適宜増減
パニック障害・・・1日30mgを超えない範囲で適宜増減
強迫性障害・・・1日50mgを超えない範囲で適宜増減
薬物動態
食事の影響 なし
半減期 約15時間(反復投与時) ⇒1日1回投与でOK
代謝酵素 CYP2D6
阻害酵素 CYP2D6(拮抗阻害)
→パキシルの薬物動態が非線形性を示すのはCYP2D6による代謝の飽和による。
代謝物の薬効はパロキセチンに比べて弱い(ほとんどない)。
セロトニン取り込み阻害作用と選択性
パロキセチン塩酸塩は競合的なセロトニン取り込み阻害作用を示し、その効果は各種SSRI や三環系抗うつ薬よりも強力であった。またセロトニン取り込み阻害作用に対する選択性を示すKi(NA)/Ki(5-HT)値により、優れた選択性を有することが示された。」
Ki (NA)/Ki (5-HT)
パロキセチン塩酸塩 320
フルボキサミンマレイン酸塩 180
(インタビューフォームより)
Ki 値とは酵素と阻害剤の親和性を示す値のこと。Ki 値が小さい(=親和性が高い)ほど効果的に酵素と基質との結合を阻害する。
以上のデータからパキシルはデプロメール・ルボックスよりもセロトニン再取り込み選択性が高いと言える。しかし薬効とは必ずしも結びつかない。
参考文献 パキシル添付文書 インタビューフォーム 製品情報概要