オブリーン錠120mgは(一般名:セチリスタット)は武田薬品工業株式会社から発売予定の肥満症治療薬。
2型糖尿病かつ脂質異常症であり、食事療法と運動療法を行っていても十分な効果が得られない肥満症(BMIが25kg/m2以上の場合)に限って使用することができます。
肥満と肥満症の違い
肥満
- 脂肪組織が過剰に蓄積した状態で、BMIが25kg/m2以上のもの(日本肥満学会)
- BMIが25kg/m2以上30kg/m2未満は過体重、30kg/m2以上を「肥満」としている。(WHO)
肥満症
肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測される場合で、医学的に減量を必要とする病態をいい、疾患単位として取り扱う(日本肥満学会)
作用機序
セチリスタットはリパーゼ阻害剤。主に膵臓から分泌されるリパーゼを阻害することにより脂質の吸収を抑制する。
脂質の吸収機序
- 脂質(トリグリセリド:TG)の大部分は、膵臓から分泌されるリパーゼによってモノグリセリドと脂肪酸、グリセロールなどに加水分解される
- グリセロールはそのまま小腸上皮細胞から吸収される
- モノグリセリドと脂肪酸は胆汁酸によりミセル化されて腸管から吸収される
効能・効果
肥満症(ただし、2型糖尿病及び脂質異常症を共に有し、食事療法・運動療
法を行っても BMIが 25kg/m2以上の場合に限る)
用法・用量
通常、成人にはセチリスタットとして1回120mgを1日3回毎食直後に経口投与する。
相互作用(承認申請資料より)
CYP2C9阻害作用あり。その他のCYP阻害作用無し。CYP3A誘導作用無し。p-gp(P糖タンパク質)阻害作用無し。OATP1B1阻害作用なし。
副作用
脂肪便、下痢の副作用が合わせて約6割に発現。リパーゼの作用を阻害して脂肪の吸収を抑制するというオプリーン錠の作用機序から考えると当然ともいえる副作用です。脂肪分の多い食事を摂ると下痢や脂肪便の副作用頻度が高まりますので注意が必要です。
オブリーン錠120mgの薬価
薬価:薬価収載前(本文掲載時点での価格です。)
その他の肥満症治療薬
ちなみに、現在使用可能な肥満症治療薬は食欲抑制剤のマジンドールのみ(漢方薬を除く)。マジンドールの適応はBMIが35kg/m2以上の高度肥満症に限定されています。
また、マジンドールは中枢作用を持っていて、数週間以内に薬剤耐性がみられるるために投与期間は3ヵ月が限度となっています。
このような理由からマジンドールが処方される例は極めて少ないと言えます。