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厚生労働省の「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」が平成27年7月2日に開かれました。
健康情報拠点薬局という仮称でしたが、医師会等に配慮した結果「健康づくり支援薬局」という名前に変更されました。
その検討会の中で、健康づくり支援薬局に求められる要件について議論が進められています。
健康づくり支援薬局とは
かかりつけ薬局の基本的な機能に加えて、積極的に健康サポート機能を発揮しているなど一定の要件を満たした薬局。
健康づくり支援薬局の要件
現在までに検討された要件は以下の通りです。まだ確定ではありませんが方向性はほぼ確定でしょう。
1.かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師としての基本的機能
- 患者の服用歴や現在服用中の全ての薬剤に関する情報等を一元的に管理する機能
- 24時間対応、在宅対応を行える機能
- かかりつけ医を始めとした医療機関との連携機能
2.薬剤師の資質
薬剤師としての基本的な知識に加え、多職種・関係職種と連携していく能力が求められます。薬だけではなく、多職種と連携してどのように地域住民の健康増進を図っていくかを常に考えねばなりません。
3.薬局の設備
病院受診の前のファーストアクセスとなる必要があります。そのためにも相談できる環境づくりが求められています。
パーテーション等で区切るなどして個人情報に配慮した相談スペースを確保する必要があります。
4.健康づくり支援薬局であることの表示
いつのころから薬局は処方箋がないと入りづらい場所になってしまいました。これでは地域住民の健康についてのファーストアクセスにはなれません。
処方箋がなくても要指導医薬品等の使用助言や健康づくりの支援が受けられる旨を掲示することが必要です。
5.医薬品の供給体制(要指導医薬品、一般用医薬品の取扱い)
要指導医薬品・一般用医薬品の1薬局当たり取扱い品目数と過去半年間の他機関との連携の実績の関係では、600-699品目取扱いの薬局の他機関との連携実績が最も高いとの結果が出ています。
この結果を踏まえて取扱い品目数の要件が決められるものと思われます。
6.開局時間
地域住民が相談しやすい開局時間の設定が求められます。 土日祝日や夜間の開局も必要となってくるのではないでしょうか。
7.地域における連携体制の構築
薬剤師以外の多職種や関係機関との連携が重視されます。
健康相談に適切に対応していくためには薬剤師だけでは限界となることがあります。その際は多職種・他機関と連携を取る必要があります。
あらかじめ顔の見える関係作りをしておくことが求められます。
8.健康相談・健康づくり支援
健康に関する相談内容の記録の作成
継続的に相談にのっていくためにも記録をしっかりと残していくことが求められます。処方箋調剤における薬歴のようなもので良いのではないでしょうか。
処方箋調剤でなくても相談内容や受診勧奨等の内容をしっかりと残しておくことが求められます。
健康づくり支援に関する具体的な取組の実施
地域の住民を待つのではなく、自発的に健康づくり支援の具体的な取組を実施していくことが求められます。
具体的には健康相談会や栄養士による栄養相談会など定期的に開催していくことが必要です。
他にも、健康に関するポスター掲示、パンフレット配布、要指導医薬品等に関するお薬手帳への記載、衛生材料等の取扱い、地域における健康増進のための各種事業への参加の議論が進められています。
これって昔からある町の薬局のことでは?
これって結局、昔からある町の薬局ですよね。
医薬分業が進む前の薬局はまさに「健康づくり支援薬局」だと思います。年配の薬剤師がいて一般用医薬品や健康食品を売っていていろいろ相談にのってくれる。
主に処方箋調剤を行う(しかやらない)いわゆる調剤薬局なんていうのが病院の前にポコポコ並んでたくさんできてしまい、地域住民に対して薬局本来の機能が果たされていないからこのような検討がされているのです。
地域の人々は健康について何か困ったことがあったらあの薬局のあの薬剤師に相談する。
あの薬局が自分が働いている薬局であり、あの薬剤師が自分となれるように日々精進していきましょう。