抗ムスカリン作用(抗コリン作用)とカルシウム拮抗作用をもつ薬剤で頻尿、尿失禁に対して用いられます。
アセチルコリンの受容体サブタイプに対しては非選択的ですが、血漿、顎下腺、脳に比べ、膀胱への移行性が高くなっています。
また、膀胱のアセチルコリン受容体に結合したものは解離しにくく、顎下腺のアセチルコリン受容体に結合したものは解離が早いため、口渇等の副作用軽減につながっています。
高齢者に対しても若年者と同様に効果がある(使用成績調査)のは抗コリン作用に加えてカルシウム拮抗作用を有していることが大きいようです。
作用機序
①バップフォーがアセチルコリンの受容体結合を阻害し、下記の反応を抑制する。
膀胱平滑筋のアセチルコリン受容体(主にM3)にアセチルコリンが結合
↓
Gqタンパク質を介してホスホリパーゼCが活性化される
↓
PIP2ホスファチジルイノシトール二リン酸の分解↑
↓
イノシトール三リン酸の濃度↑
↓
小胞体の貯蔵Ca2+が遊離
↓
細胞内Ca2+濃度上昇
↓
膀胱平滑筋収縮
②バップフォーのカルシウム拮抗作用により、下記の反応を抑制する。
カルシウムチャネルからCa2+が流入
↓
細胞内Ca2+濃度上昇
↓
膀胱平滑筋収縮
同効薬との比較
①バップフォーとベシケア(コハク酸ソリフェナシン)は1日1回投与であるのに対し、ウリトス / ステーブラ(イミダフェナシン)は1日2回投与が必要。
②ウリトス / ステーブラとベシケアは膀胱選択性が高い抗コリン薬だが、カルシウム拮抗作用は持っていない。
③ウリトス / ステーブラ、ベシケアはOD錠が発売となったが、バップフォー錠の原薬は苦味が強いため、OD化は難しい。
効能・効果
・下記疾患又は状態における頻尿、尿失禁
神経因性膀胱、神経性頻尿、不安定膀胱、膀胱刺激状態(慢性膀胱炎、慢性前立腺炎)
・過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
用法・用量
通常、成人にはプロピベリン塩酸塩として20mgを1日1回食後経口投与する。年齢、症状により適宜増減するが、効果不十分の場合は、20mgを1日2回まで増量できる。
製品一覧
・バップフォー錠10
・バップフォー錠20
・バップフォー細粒2%(0.5g、1.0g)
以上、バップフォー(プロピベリン塩酸塩)の説明でした。