ファイザーから発売された国内で初となる禁煙補助剤の飲み薬です。飲み薬ですのでニコチンガムやニコチンパッチよりも使用が簡単です。条件を満たせば健康保険が利用できますので費用負担が軽減されます。
保険適用となる条件
健康保険等で禁煙治療が受けられる医療機関(禁煙外来)を受診し、以下の4つを満たせば健康保険が使えます。 ⇒禁煙外来のある医療機関
①ニコチン依存症を診断するテストで5点以上
⇒ニコチン依存症を判定するテストTDS(Tobacco Dependence Screener)
②ブリンクマン指数(1日の平均喫煙本数×これまでの喫煙年数)が200以上
③1ヵ月以内に禁煙を始めたいと思っている
④禁煙治療について説明を受け、文書により同意(サイン)
条件に当てはまらない場合でも自費(全額自己負担)で治療を受けることも可能です。
作用機序
バレニクリンは、α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体(ニコチン受容体)に対する部分作動薬。バレニクリンがニコチン受容体に結合すると2つの作用(拮抗作用と刺激作用)が現れます。
アンタゴニスト(拮抗作用)
⇒ニコチンがニコチン受容体に結合するのを阻害し、喫煙による満足感を抑制します。
(再喫煙したとしても満足感が低くなる。)
アゴニスト(刺激作用)
⇒タバコのニコチンにより放出されるよりも少量のドパミンが放出され、禁煙によるイライラ感や喫煙切望感を和らげます。
バレニクリンはこの2つの作用により禁煙を補助します。
用法・用量
通常、成人にはバレニクリンとして第1~3日目は0.5mgを1日1回食後に経口投与、第4~7日目は0.5mgを1日2回朝夕食後に経口投与、第8日目以降は1mgを1日2回朝夕食後に経口投与する。なお、本剤の投与期間は12週間とする。(チャンピックス添付文書より)
患者さんが設定した禁煙開始日の1週間前からチャンピックスの服用を開始します。
吐き気の副作用を防ぐために少量から開始し、徐々に増量していきます。
指示通り服用していけばバレニクリンの血中濃度は禁煙開始日までには定常状態に達していますし、喫煙による満足感が減少してきているはずです。
チャンピックスの処方例
初回(計14日分)
①チャンピックス錠0.5mg 1錠 朝食後 3日分
②チャンピックス錠0.5mg 2錠 朝夕食後 4日分
③チャンピックス錠1mg 2錠 朝夕食後 7日分 (※ここから禁煙開始)
(①終了後に②を服用、②終了後に③を服用)
2回目
チャンピックス錠1mg 2錠 朝夕食後 14日分
4回目、5回目
チャンピックス錠1mg 2錠 朝夕食後 28日分
健康保険使用の禁煙治療のスケジュールは、初回、2週間後、4週間後、8週間後、12週間後に再診あり。
チャンピックス使用で禁煙に失敗した場合、再度保険を使用する場合は前回の初診から1年以上経過している必要がある。
主な副作用
チャンピックスの主な副作用は、吐き気、不眠、異常な夢、頭痛、便秘等です。
さらに服用中にめまいや傾眠があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際は十分に注意する必要があります。
チャンピックス錠の薬価
チャンピックス錠0.5mg 1錠132.6円
チャンピックス錠1mg 1錠237.4円