甲状腺の小葉には多数の濾胞があり、その中はコロイドで満たされています。このコロイドは基質内にチロシンを含む糖蛋白(チログロブリン)からなり、濾胞細胞はコロイドで満たされた空間を取り巻いています。
甲状腺ホルモンの合成機序
①血中のヨウ素イオン(I–)は濾胞細胞内に取り込まれる。
②濾胞細胞内で甲状腺ペルオキシダーゼによってヨウ素イオン→遊離ヨウ素となる。
③濾胞細胞の細胞膜に接したチログロブリンのチロシン残基がヨード化されて、モノヨードチロシン(MIT)やジヨードチロシン(DIT)が形成される。
④MITやDITが縮合して2種の甲状腺ホルモンを形成する。(MIT+DIT→T3 、DIT+DIT→T4)(この時点では濾胞内のチログロブリンに組み込まれたまま)
⑤濾胞細胞がコロイド小滴としてチログロブリンを取り込む。
⑥T3およびT4はチログロブリンから切断される。
⑦ライソゾーム中のプロテアーゼによりT3およびT4はチログロブリンから切断される。
⑧T3、T4は血中へ放出される。
メルカゾール(チアマゾール)やチウラジール/プロパジール(プロチオウラシル)は、②の甲状腺ペルオキシダーゼを阻害することで抗甲状腺作用を現わします。
<参考文献>
メルクマニュアル18版 甲状腺疾患
チウラジール錠インタビューフォーム
プロパジール錠インタビューフォーム
メルカゾール錠インタビューフォーム